EVENT REPORT: 2003.4.13 レポート by 岩倉 千兵衛(アダジオ商会)

「ウナノーチェ・・デ・ファンタシア」 at 六本木レストラン・ボデギータ

先日、ボデギータでの厳しい舞台を終えた直後の僕に、ジョルジュ師匠からメールが舞い込んだ。それには、サラッと

「このあいだのボデギータのレポート、よろしくね」

……とだけ書いてあった。うーん、「ファンタシア」のレポートを交代で書こうっていう話にはなってたけど、1回目を書くんは僕やったっけ? でも、タンゴは不得意やけど安請け合いは得意な僕のこと、例によってあんまり考えんと「いいですよ、やりますよー」なんて言うてしもてんやろなあ。というわけで、アダジオ商会メンバーの当コーナー初執筆、はじまりはじまり。


ジョルジュ&リタ、アダジオ商会&スタッフ @ボデギータ

久々の大入り

 当日、僕は藤沢の地元のイヴェントで仕事関連の出店。それを午前中で抜け、湘南新宿ラインで爆睡して、まだ目覚めない重い身体を引きずって「ボデギータ」へ向かった。でもリハーサルをいつもよりたっぷりやって目を覚ます。
 それにしても今日はお客さん多いです。リタさんが「今日は千葉からいっぱい来るよー」と予告していたとおり、5時半の初心者レッスン開始直前からお客は続々集まってきた。ジョルジュさんがレッスンで早速「狭い場所で如何に踊るか」を強調するほどだった。6時、パーティーが始まるとフロアはすぐに満杯になった。


久々の盛りだくさんの舞台

 さて、7時半からのショウ・タイムはジョルジュさん&あけみちゃんによる簡単なアダジオ技の紹介から始まった。パフォーマンスのトップを飾ったのは「ねずみ一座」。このパーティーには10か月ぶりの登場だ。ねずみ座長のコンテンポラリーなソロ・ダンスに続きペアのタンゴ、そして「ワレ、なに人の女取ってんねん」とのセリフに始まり、お約束のコミカルな男性ペアのタンゴ。最後は効果音をふんだんに使ったオチで、しっかりウケていた。
 2番目は門間さんと田村さんのペアによるルンバ。そして「アダジオ商会」の登場だ。


アダジオ商会の苦闘

 アダジオ商会初のタンゴ・パフォーマンス「エル・タンゴ・デ・ロクサーヌ」。去年12月の初演以来既に7か所で披露済みだったが、フォーメイションの変更・ペアの変更等、毎回のように新たな課題が突きつけられるという演目である。今回はいよいよ、フロアからリタ・ジョルジュ両師匠の姿が消え、生徒のみ3組での出演。その上アダジオ商会のトップ・タンゴ・ペア、あけみ&ぎゅうまでが出ない。この3ペアでの練習を始めた3月半ば、ジョルジュさんは頭を抱えていた。

 師匠たちが演っていたソロの部分を代わって受け持つのはとも&僕のペア。僕は初演以来の大プレッシャーを感じていた。
 ソロ振りのために、グループの練習とは別に1ペアだけでジョルジュさんとリタさんに教えてもらったときには「そこ、タンゴになってない」と何度も手厳しい言葉を頂戴した。でも、実は「とりあえず振り付けやアダジオができる」という段階を通り越したのかな、と密かに僕はほくそ笑んでいたのだ。
 ふみ&ぶんのペアは毎週水曜、「三軒茶屋スタジオ・ボデギータ」でのタンゴのグループレッスンのあと、プライヴェート・レッスンをみっちり受けていた。ともみ&かずの夫婦ペアは、1歳の男の子・しゅんを抱えながらも毎土曜日のアダジオ商会の練習に欠かさず出ていた。ぶんちゃんとかずの男同士が組む4小節も何とか形になった。本番1週間前の3組だけの特別練習ではやっと3組のタイミングが揃い出す。
ジョルジュさんもやっと笑顔になってきた。
 
 僕らのソロから始まる本番。今まで単なる振りとしてやってた部分について、中途半端に「タンゴとしての動きをしよう」なんて思たモンやから、最初につっかかってしまったが事なきを得る。そして練習であまり上手くはできてこなかったところがまあまあ決まりだす。よーし、ええぞええぞ。
 リフトから始まる2度目のソロ、入りをちょっとミスって、ともを逆さに落としてその勢いで持ち上げるときに予定よりゆっくりめになってしまった。でも、僕には「そのゆっくり加減を利用してムード出したろ」なんていう余裕があったのだ。決めもまずまず。
 後半は ocho をさせる方向を当日場所の関係で変えたところでウロウロした(ともの足を踏んでしもた)のがちょっとあとまで響いたのを除けばかなりイケてた。最後の最後の決めも、ズワッと。


本番よければ全てよし?

 続いてゲストのヨシ矢野さんと森麻子さんのタンゴ。森さんは宝塚の男役みたいな、キリリとした美しい方だった。ジョルジュさん・リタさんとはまた違った種類の優雅さを感じた。
 トリを飾ったのはジョルジュ&リタ師匠。曲はブエノス・アイレスから持ち帰った優しい雰囲気の作品「Petite Musique」だ。リタさんの足がリハーサルのどの回よりも高く上がり、天井のライトに当たりそうなくらいだった。タンゴのカッコよさに「ハァ〜」と溜息をつき、活きのいいアダジオに「ハッ!」と息をのむ、そんなパフォーマンスだった。

 ショウを終えた僕に「いやー、よかったよセンベイちゃーん!」と、ぎゅうが握手を求めてきた。自分が演らない分、本当にハラハラしながら観ていたのがわかる。
パーティー後の打ち上げでは、やはり今回出番のなかったひろりんから「ふたりの間に、なんか雰囲気あったよ。センベイちゃんのメイクもバッチリじゃん」と言われ、そして矢野さんからは「舞台の上でしっかり他の2組を引っ張っていましたね」とのお言葉が! ううっ、実力的には全然引っ張れないのをわかりつつも秘かに「リーダーシップ取らな!」と頑張っていた僕にとっては実は一番嬉しい評価だったかも知れない。「チャコット」でのメイク・レッスンに6000円もかけた甲斐あったし。
 ビデオを見返してみると、3ペアがそれぞれ自分たちのことで一所懸命なことに変わりはないが、視線の端で常に他のペアを捉え、タイミングを合わせようとしているのがわかった。このパーティーでの出番は、いつも「まあまあうまくいったね」という感じになる。準備から始まって半日がかりの仕事を終えたあとでホッとしているので、両師匠や自らの評価が多少甘くなるのは確かだが、何度も何度も現場リハをやるから大きな失敗がないということも言えるのだ。
 
 ショウが終わったときかなりのお客さんが帰られたが、それでも9時半のパーティー終了までフロアは一杯だった。「キューバン・ミックス・プレートとドリンク付き¥3,000」という初めての設定。久しぶりにたくさんのお客さん、充実したショウ・タイム。新生「ファンタシア」は熱気を残して終わった。

BACK